そんな疑問を持っている方に向けて、こちらのコラムでは「中国での結婚」にまつわる慣習や現代の最新動向についてを解説します!
結婚時に中国人男性が準備すべき3つのモノ
日本では結婚するのに相手に求める条件は人それぞれで、「〇〇がなければ結婚できない!」といった慣習やルールなどは特にないですよね。
ですが、中国では結婚時、男性に求められる”必須条件”があるのです・・。
それは「家」「車」「結納金」の3点セット。
以下でそれぞれ詳しく見ていきましょう。
家
中国では、一緒に夫婦で住むための新居を男性が前もって準備しておかなければなりません。
もちろん、20代後半〜30代前半で一括で家を買える人はそういないので、ローンを組んで買うのが一般的。
さらに、男性側の親が裕福であれば、親に家を買ってもらったり金銭的にサポートしてもらったりすることもあります。
中国では、戸建ては富裕層が別荘やセカンドハウスとして持つといった位置付けなので、普通は「マンションの一室」を購入します。
日本人の私からすると、「こんな若くに家を買うって勇気いるだろうな・・。転勤とかあったらどうするんだろう?!」などと思ってしまいますが、
なんと、中国では20代後半になってそろそろ結婚する年齢に近づいて来ると、彼女もいない段階でとりあえず家を買っておくというのはよくあることだそう・・!(私の知り合いでもいました!)
「家が準備できる=経済力があることの表れ」とも評価されるので、結婚時には家を用意しておくことが必須条件になっているのだそう。
車
「家」のほかに「車」も結婚条件のひとつになっています。
”若者の車離れ”が叫ばれている日本でも、やっぱり結婚した後に車を購入するカップルは多いので、「結婚時に車を購入する」こと自体には共感できる気はします・・。
だけど、「家も車も男性側が用意って負担が大きくないか?!」という話です(笑)
これも家を準備する理由と同じで、「家と車を用意できる=経済的に安心できる」という考えにつながるのだそう。
日本でも中国でも現代の価値観は少しずつ変わってきたとはいえ、「男は外で稼いで、女は家庭を守る」といった昔ながらの考えから生まれた慣習のひとつと言えますね。
結納金
最後の一つは、中国語で「彩礼(cǎi lǐ)」(読み方:ツァイリー)と呼ばれているもの。
日本で言うと、”男性側から女性側に送られるお金”という意味で似ている「結納金」がそれに当てはまるでしょう。
しかし、「女性が嫁ぐ準備をするためのお金」を送る「結納金」とは異なり、「彩礼」は「大切な娘さんをいただく代わりに、お金を納める」といった意味合いがあります。
そのため、男性から結婚する女性側の両親に贈られるのが一般的。
以前、日本語を教えている中国人の学習者に「彩礼はどんな目的で贈られるの?」と聞いたことがあるのですが、
その学習者は「多くの女性は結婚後に子どもを産むので、出産にかかる身体的・精神的負担が大きい女性に対してお金が贈られる」
「昔は女性が家庭に入ることになるので、働かない分”何かあったときの保証”のような意味合いでもあった」と教えてくれました。
結納金の相場はどれくらい?
「彩礼」と呼ばれる結納金の相場は、一体どれくらいなのでしょうか?
私のパートナーや知り合いの中国人何人かに聞いたところ、
おおよその相場は「30〜500万円」だそう。
ここまで金額にぶれがあるのは、家庭や地域によってかなり違いがあるからとのこと。
わたしが聞き込みした感覚からすると、中央値は「100〜300万円」かなという感じです。
基本的に「彩礼」の金額は女性側の両親が提示します。
それに対して男性側が要求された額が用意できるか?できないなら、どれくらいの額で納得してもらえるのか?といった感じですり合わせをするようです。
中国人男性の苦悩と若者の結婚離れ
結婚の必須条件と言われている「家」「車」「彩礼」。
私は今20代後半なのですが、「この年齢でこの3つを用意しなければ結婚できないとなると、かなりキツいな・・」というのが正直なところ。
さらに、中国では年々マンション価格が高騰しているので、普通のサラリーマンでは家が買えないとも言われています。
そんな中、この伝統的な結婚の習慣によって「結婚に対するハードルが高すぎる。結婚したくない」といった若者(特に男性)の結婚離れが加速しているそうです。
私のパートナーは、「親がお金に余裕があって家や車の金銭的サポートをしてくれない限り、多くの中国人男性は20代は車と家を買うためだけに生きている」とも言っていました。
もちろん各国の文化や習慣はそれぞれなので、それぞれの価値観に良い悪いはないのですが、日本文化と比較すると男性側の負担が大きいなと感じてしまいますよね。
近年は結納金をなくそうとする動きが・・
中国は1979年から2014年まで「一人っ子政策」を実施していたことや、若者の結婚・出産離れが加速していることもあり、日本と同様に少子高齢化が進んでいます。
この少子化問題は社会問題の一つにもなっていることから、近年では、彩礼(結納金)をなくそうとする動きが始まっています。
田舎では昔の慣習が色濃く残っていることが多いですが、上海や北京などの都会ではすでに「彩礼」は必要ないのが一般的になりつつあるそうです。
車や家も、結婚したあとに一緒に働きながら購入するカップルも増えています。
このような社会の動向もあり、結婚に必須条件とも言われている「家」「車」「彩礼(結納金)」の習慣は徐々に薄れつつあるのが、今の中国です🇨🇳🐼